大阪城の石垣に刻まれた無数の符号、一般に石垣刻印と呼ばれているものについて、徹底的に調べ上げた民間グループ「築城史研究会」のリーダーで、そろばん塾経営者の藤井重夫さん(東大阪市、故人)、『日本の古銃』・『和時計』などの著者としても知られる日本鉄砲史研究者・古銃砲収集家の整骨院長澤田平さん(大阪市東成区)。お二人とも学歴や学会などとは無関係に本職のかたわらで築き上げた実績の大きさが注目されます。
『大阪平野のおいたち』を著わした元・十三郵便局長梶山彦太郎さん(東淀川区、故人)や『日本郵便発達史』などの大著を著わした元・高麗橋三郵便局長薮内吉彦さん(奈良県在住)。さらに、「上方芸能」編集長から立命大教授に抜擢された木津川計さん(住吉区)は元・町の印刷屋さんだったし、府立図書館司書から関大教授に抜擢された根っからの大阪市民肥田皓三さん(池田市)の例もある。大阪では今も江戸時代以来の伝統が生き ているのです。
実力ある人材いっぱい
大阪というのは、実力のある人材がいっぱい隠れているこわいところだと私は痛感しました。
そんな伝統もあるのに、「ウソで勝てる人間でないと政治家も弁護士もつとまらない」などと口にするような安手の人物が市長になった大阪市。まさに災難です。
災難から脱出のチャンス
しかし、今度の住民投票は、そんな災難から脱出するいいチャンスです。表向きはそれぞれの商売にいそしむ一見平凡な市民が、じつは下手な学者や文化人顔負けの学識や見識を持っているというのが大阪人の良き伝統だとしたら、「ぼくちゃん負けた!」の日は近い、のでは⁈
元大阪城天守閣館長 渡辺 武