都構想Q&A

「都構想」で、なんで『住民投票』がいるん?

大都市地域特別区設置法(以下大都市法という)
政令市を廃止して特別区を設置する場合は
住民投票が義務づけられています。

 要は、「大阪都構想」で大阪市が廃止されれば大阪市民が不利益をこうむるので、「それでもいいの?」と念押しをするために「住民投票を行う」というのです。

 通常、一般市が政令市になったりする場合、住民投票はありません。不利益がないからです。

大都市法を審議する際の答弁
大都市地域特別区設置法
(第180回通常国会衆議院総務委員会2012年8月7日)
186 佐藤 茂樹 答弁

住民投票につきましては、関係市町村が廃止されて特別区が設置されることによって、関係市町村の住民には住民サービスの提供のあり方というのが大きな影響を受けるわけですね。特に指定都市が今回廃止になるという、大阪市のような場合、そういう場合については権限や税財源の面でいわば格下げとも言える事態が生じて、通常の市町村合併以上に住民の生活等に大きな影響があると考えられます。ですから、本当にそういう指定都市を廃止して特別区という形にしていいのかということについて住民の意思を尊重する、そういうことも大事であろうということで、住民投票を必要とさせていただきました。

二重行政を解消したら
「無駄はなくなる」って聞いたんやけど?

行政上は、役割が分担され、「二重」ではされていません。
その点では、大阪市を廃止しても無駄を削ることはできません。

 松井市長は「いまは二重行政はない」といいますが、市民の暮らしが困るような「府」と「市」の対立などはこれまでもありませんでした。旧WTCビルなどの失敗は、「府」も「市」も見通しのない大型開発にのめりこんだ失敗で、「二重行政のせい」ではありません。政治の中身を変えなければ、「特別区」になっても同じことが繰り返されます。

 逆に、新型コロナ対策など、命と健康、安全を守るための行政は国も、府も、市も、二重三重に必要です。「二重行政」だといって住吉市民病院を廃止したのは維新政治の間違いです。

「都構想」で大阪市はなくなる?

都構想とは大阪市を廃止して特別区を設置することです。
したがって、政令市の大阪市はなくなります。

 今回の住民投票の投票用紙にも「大阪市を廃止し特別区を設置することについての投票」となっています。前回は「大阪市における特別区の設置についての投票」とされていましたが、大阪市を廃止の文言がありませんでした。

 松井市長は「大阪市役所を廃止する」と選挙管理委員会へ申し入れましたが認められませんでした。

「都構想」で住民サービスはどうなるん?

財源がなくなり住民サービスの低下は必然です。

 大阪市の税収の3分の2が大阪府に吸い上げられ、「特別区」は大阪府からの「おこづかい」でやり繰りすることになります。また、コンピュータシステム改修や庁舎整備などのコストが241億円、毎年のランニングコストが30億円も必要になるため、財源がなくなり住民サービスの低下は必然です。

 お金がない特別区では、大阪市が独自の財源で実施してきた施策が削減対象となります。その独自事業には、こども医療費助成をはじめ各種の医療費助成制度、障がい者市営交通料金福祉措置、敬老パス、塾代助成、幼稚園就園奨励費補助、バスネットワーク維持改善補助、新婚・子育て世帯向け分譲住宅購入融資利子補給制度、給食費無償化など市民のくらしを支えているたくさんの制度がありますが、これらの制度維持が危ないのです。

維新がゆーてる「都構想」の成長戦略って?

維新が大阪市を廃止する「都構想」で実現をめざすという
成長戦略には、カジノ(統合型リゾート・IR)をはじめ
大型開発事業がめじろ押しです。
計画が強行されれば、大阪市に再び負の遺産を築くことになります。

 これらは外国人観光客を多数呼び込むこととセットで計画されているものですが、新型コロナ禍によってインバウンドは▲99%に落ち込み、回復は相当の期間が必要です。また、大阪のカジノに名乗りを挙げていた唯一のアメリカのカジノ事業者はコロナ禍での営業収益の落ち込みで従業員を1万8千人解雇するほどの状況です。

 もはや維新がめざす成長戦略そのものが破たんの危機に陥っています。このままこれらの計画が強行されれば、大阪市に再び負の遺産を築くことになります。

住民説明会説明パンフより(副首都推進局)

維新の会の説明BOOKより

いま、住民投票をやるべきなんかな?

今年はコロナ感染拡大で大変な状況です。
市民のみなさんはお困りになっています。
市民の健康や中小企業の経営を守ることが
先決ではないでしょうか。

 しかも、いま落ち着いて「都構想」の内容を知り、議論する条件もありません。こんな時に、大阪市を廃止するとはとんでもないことです。

 今、必要なことは政令市であり、十分は財政力をもっている大阪市の力を発揮して、コロナに打ち勝つためのPCR検査の拡充や医療現場への支援、公衆衛生への増員・拡充、苦しんでいる中小企業などへの支援こそが求められています。

いま市や府は、住民のために何をすべきなん?

緊急に求められているのは、新型コロナウイルスから、
住民の健康と暮らしを守ることです。

 大阪市は、コロナ対策を府に丸投げし、市独自ではほとんどおこなっていません。医療機関への減収補てんと感染対策整備への補助金、医療従事者への見舞金、事業者への減収補償、教育現場への人員配置など、やるべきことは山ほどあります。11月1日に賛成が多数になれば、大阪市を廃止する作業が始まります。そんな財政や人員はすべてコロナ対策に向けるべきです。

「特別区」の財政は大丈夫なん?

大阪市を廃止して設置される「特別区」の財政は
大変厳しくなります。

 維新は「特別区が実施する事業に必要な予算はきちんと配分する」と言いますがうわべの説明です。

 まず、一つの大阪市が四つの特別区になると必ず必要経費が増えます。例えば1軒の4人家族が4軒で分かれて暮らすことになると家計費が必ず増えることと同じです。

 初期コスト241億円やランニングコスト30億円などを15年間で見積もると1300億円も無駄な費用がかかることになります。

 一方、収入では大阪市の税収の3分の2が大阪府税になるとともに、国からの地方交付税も大阪府に奪われます。さらに地方交付税が特別区に必要な額より200億円も毎年少なります。大阪府が配分するという「調整交付金」の財源が必要な額より少なくなるのですから当然しわ寄せは特別区に及びます。

 これでは「特別区」のやり繰りはできません。

投票率は関係あるん?
やっぱ投票に行かなあかんのかな?

投票にいかずに「賛成」が1票でも多数になれば
大阪市は廃止されます。

 今回の大阪市を廃止して特別区を設置する「都構想」の住民投票では投票率の最低限度はありません。したがって投票率が限りなく低くても成立します。

 投票にいかずに「賛成」が1票でも多数になれば大阪市は廃止されます。

 2度ともとにもどれません。

 都構想がわからない場合や悩んでいたら、「反対」で投票しましょう。

 また、コロナが怖いので投票には行かないと思っている方も是非投票にいってください。

 棄権は危険です!

推進派の宣伝物に
「都構想をつぶすデマが流れています」
って書いてたけどホンマなん?

推進派が配布している宣伝物には
反対派の主張をデマと決めつけているものがあります。

その宣伝物のQ&Aには
「都構想になると水道料金や税金はあがるの?」という質問に対し なんの根拠もなく「あがりません」と答えるだけ。

「特別区になったら各区の財源が乏しくならへん?」との質問には 「乏しくなりません」と答えるのみです。

反対派の主張に反論できない推進派は、デマ批判を前面に出すことによって 住民投票を乗り切ろうとしています。

宣伝物の狙いは反対派が主張する事実について、 「デマ」だと印象操作することにあります。

維新の会は「住民サービス向上」を
断言してるけど、どういうこと?

「住民サービス維持するよう努める」という単なる努力義務に過ぎません。 協定書にも書きたくても書けませんでした。

今回の住民投票は、「特別区設置協定書」への賛否を問うため、「都構想」賛成派も反対派も、「協定書」もとづいて論戦や宣伝をしなければなりません。

その肝心の協定書の住民サービスについてに結論は「特別区の設置の際」、つまり瞬間的には「その内容や水準を維持」するとしていますが、その後は、「維持するよう努める」という単なる努力義務が書かれてあります。

特別区になると財源がなくなるため、住民サービスが向上するのはありえないからです。

維新プレスに「デマチラシに注意」とあったけど?

維新事務所が「イメージで載せている」と明言しました。

また、同じ維新プレスには、「都構想についての疑問に答えます」として電話番号を載せています。しかし、この電話番号は維新の本部ではなく、大阪市役所です。

大阪市の職員を「全体の奉仕者」ではなく、「維新の奉仕者」に仕立てようとしています。

維新の公報やビラに書いてある
「都構想の財政効果は1.1兆円」ってホンマなん?

いいえ。日本共産党の山中智子市議は、試算の問題を取り上げ、「人口が50万人を超えても一人当たりの歳出額が伸びていかない。東京や大阪などの大都市にはU字カーブは当てはまらない。」と批判しました。

維新は「特別区設置による効果を何らかの形で数値化できないか」と民間企業に調査を委託すると発表し、2018年3月に再度の公募で「みずほ総研」と「嘉悦学園」が名乗りあげました。

そして、なぜか自治体などの業務・研究実績のない嘉悦学園が選ばれ、1000万円の委託料で同年6月に報告書が提出されました。

報告書はこれまで約80か所もの誤記載が見つかっています。

また、公明党からも「嘉悦さんの理想値に過ぎず、財政シミュレーションは反映されていない。あくまでも参考。」(辻義隆市議・10月16日付ツイート)と指摘されています。

「特別区」で「住民サービス」はよくなる?

いいえ。住民サービスは後退必至です。

今の大阪市の財源の多くが「府」に吸い上げられるうえに、「特別区」設置コストは1300億円(15年間)もかかり、国からの交付税が必要額より200億円不足します。

(後退する危険のある住民サービス・・・18歳までの医療費助成・敬老パス・塾代助成など)

特別区設置協定書(5ページ)

●特別区の設置の際は、(略)住民サービスについては、その内容や水準を維持する

●特別区の設置の日以後においても、(略)維持するよう努めるものとする

「特別区」になっても、市民プールや施設はそのまま残る?

いいえ。市民プールはいまの24から9か所へ削減されます。

スポーツセンター・老人福祉センター・子育てプラザも18か所へと削減対象になっています。

市政改革プランの記載事項

事業名称 備考
老人福祉センター 26→18ヵ所分の財政配分
子ども・子育てプラザ 24→18ヵ所分の財政配分
屋内プール(再掲) 24→9ヵ所分の財政配分
スポーツセンター(再掲) 24→18ヵ所分の財政配分

「財政シミュレーション」(大阪市作成)

市政改革プランR2年度以降見込分
17億円
プール管理運営
11億円
スポーツセンター管理運営
2億円
委任老人福祉センター
2億円
子育て活動支援事業
1億円
(屋内)プール管理運営
1億円
R16年(R=令和)