大阪市の歴史と未来

都市の文化水準を表す施設には、無駄な部分やゆとりがほしい

二重行政でも棲み分けすれば

大阪市立美術館
大阪市立美術館

全国2位の人口を持つ神奈川県、政令指定都市として全国1位の人口を持つ横浜市、同じく愛知県と名古屋市、兵庫県と神戸市、共に二重行政を行っていますが、大阪のように一元化、都構想を問題提起しているでしょうか?

これらの都市では適材適所、共存共栄の棲み分けを上手にやっているのではないでしょうか。なぜ大阪でやらなければならないか意図が不明確です。二重行政を解消していると思われている東京都ですら23区の特別区との間で二重行政が厳然と存在するといいます。

府の公衆衛生研究所と市の環境科学研究所、府立大学と市立大学、府市の図書館、体育館などの統廃合や、市立幼稚園の民営化などは必要性があるのでしょうか?

儲けるなんて愚の骨頂

博物館、美術館、図書館、動物園、水族館はその国、その都市の文化水準を表しています。素晴らしいこれらの施設は国際会議やレセプションに使われることもあります。これらの施設は集客性も求められますが、それ以上に知的情報を提供する場、憩いや癒しの場としての機能があります。国立民族学博物館を作った初代館長梅棹忠夫先生と、大阪市立自然史博物館の館長千地万造先生との対談で、梅棹先生が財務方が「博物館の入場者はいくら」だの「収益はどれぐらい」だのとよく問題にするが、博物館や美術館などの文化教養施設で儲けるなんて愚の骨頂だ! このような施設はただで見ていただいて当然の施設だと仰っていました。現在、国立民族学博物館や大阪音大音楽博物館は見て、触って、写真も自由に撮れる素晴らしい施設で、本来の姿だと思います。

経営的にはしんどい部分もあるかもしれませんが、無駄な部分や余裕やゆとりが欲しいものです。

元・天王寺動物園園長 中川 哲男